いまだからしっかり考えるべき

新型コロナウイルスの感染影響が大きくなってきていて、とうとう日本も緊急事態宣言が発令されようとしています。私たちも、制作中の映画があと仕上げ(の工程)を残すのみとなりましたが、現在実質保留中となっており(製作委員会がコメントだしていませんが)、完成が遅れることは必須になりました。本当は、オリンピックも延期になったので、8月の上映編成に無理にでも組み込めるチャンスでもあったかと思いますが、今回はそのようには(自主製作ではないので勝手に)できないので仕方ありません。

今回、このような状況で時間があるのでいろいろと考える時間ができて、そういう意味ではチャンスでもあると思っています。さらに、このウイルス騒動のようなことが今後も起きうると考えられるので、その都度、政府に頼るような組織戦略であるわけにはいきません。昭和の時代とは異なり、大量生産(大量消費)のために常に効率化を求めるような体制ではなく、いまは、いかに質をあげるかを考えなければならない時代だと思っています。大量というマーケティングの思想も昭和平成で終わっていると思います。

高い質の作品(製品)をつくりだし、あなただけのという小さな市場をいくつも束ねていく、少量多品種程な製作が必要と考えます。演劇や音楽などのライブはその高揚感をその場にいたみんなで共有するというのはありですが、映画のような作品をみんなで同じ空間で観て同じ感動を共有するのはすでに違うと思います。ただの回収装置としても空間であるならコスト面も含め現代にあっているとは思えません。文化という側面からみても、その文化を広め定着させるような機能をもっているとはとうてい思えません。文化としてその地域に根付かせるような働きかけがあってこそ、地域の劇場などという空間が活きてくると思いますが、すでにそういう側面は見受けることができず、マーケティング中心の不動産になっていると感じています。

だからこそ、いま私たちに与えられた時間は非常に貴重であると思います。仮にコロナウイルスが収束したとしても、元の経済状況に戻るとは考えず(バブルに戻ることはないと理解するまでに何年かかったかしっかり思い出し学習するべきと思います)、あらたな市場開拓とその市場へのアプローチを考え、そこから戦略を練り直すという面倒な作業ですが、いまこそ大事な変革だと考えます。

 

 

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